執筆:Kristijan Sekereš

新リース会計基準:2027年4月までに必要なシステム対応

東京・丸の内のオフィスビル街

2027年4月1日以後に開始する最初の事業年度から、日本基準ではほぼすべてのリースが貸借対照表に計上されます。オフィスや店舗の賃料、倉庫、社用車、そしてサービス契約の中に埋もれたリースが、すべて使用権資産とリース負債になります。3月決算の会社にとっては、6か月後の話です。

会計上の判断は、経理部門と監査人のものです。この記事が扱うのはもう半分、つまり契約データ、計算、仕訳、インターフェースです。こうしたプロジェクトが遅れるのは、そちらの側です。

何が、誰にとって変わるか

企業会計基準委員会(ASBJ)は2024年9月13日、企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」と企業会計基準適用指針第33号を公表しました。これらは2007年の企業会計基準第13号に置き換わるものです。ASBJの概要は、日付を次のように定めています。

  • 2027年4月1日以後に開始する事業年度 の期首から、連結財務諸表と個別財務諸表の両方で 適用。
  • 2025年4月1日以後に開始する事業年度から 早期適用が可能。

ASBJがその後に公表したもので、これらの日付を動かしたものはありません。

旧基準では、ファイナンス・リースは貸借対照表に計上され、オペレーティング・リースは賃借料として費用処理されていました。企業会計基準第34号では、借手は、従来どう呼ばれていたかにかかわらず、すべてのリースについて資産と負債を計上し、減価償却費と支払利息を計上します。いくつかの簡便的な取扱いを加えたIFRS第16号の単一モデルです。貸手の会計処理は、おおむね従来どおりです。

システムにとって、見た目以上に重要な点が2つあります。

連結だけでなく、個別財務諸表にも適用されます。 ASBJは連結財務諸表に限定することを検討しましたが、採用しませんでした。グループ各社の元帳が新しい数字を持つことになるので、連結時のトップサイド調整では解決しません。

リースを識別しなければならなくなります。 企業会計基準第13号には、契約の中からリースを見つけ出すためのルールがありませんでした。企業会計基準第34号にはあり、ASBJは、これまでリースとして会計処理していなかった契約にリースが含まれていると判明する場合があるとはっきり述べています。

対象となる会社

この基準は、日本基準を全面的に適用する会社を前提に書かれています。実務上は、上場会社と、会社法上の大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上)を意味し、大会社は会計監査人を置かなければなりません。ASBJは、中小企業は通常、代わりに中小企業の会計に関する指針などに従うとしています。

ここには、会社法上の大会社に当たる外資系企業の日本子会社も含まれます。親会社がどの基準で報告していても、法定の財務諸表は日本基準です。親会社がIFRS第16号を適用しているなら、データの大部分はすでにあります。ASBJは、連結財務諸表でIFRSを適用している会社が、個別財務諸表でIFRS第16号の数字を基本的に修正なしで使えるように基準を設計しました。親会社が米国会計基準なら、作業は増えます。Topic 842はオペレーティング・リースについて定額の単一の費用を維持していますが、日本の基準はすべてのリースに減価償却費と支払利息を求めているからです。

この記事の対象外: すでにIFRS第16号を適用し、その数字を各社の元帳に持っているグループは、この大半を済ませています。以下のいずれも会計上の助言ではありません。

システム対応はどこにあるか

1. リースを見つける

リース会計ソフトウェアのベンダーであるプロシップは、2025年5月に上場会社と大会社の経理担当者1,007人を対象に調査を行い、2026年4月に結果を公表しました。対象となりうる契約の洗い出しを終えていたのは23.5%にとどまり、53.9%はまだ作業の途中でした。

定義はIFRS第16号に沿っています。特定された資産の使用を、一定の期間にわたり、対価と交換に移転する契約、またはその一部です。判断の基準は支配です。資産の経済的便益のほとんどすべてを享受し、その使用を指図する権利を持っていることです。

不動産は分かりやすい母集団です。より難しい母集団はサービス契約の中に隠れています。専用の倉庫スペースや車両を伴う物流契約、専用のハードウェアでのITホスティング、特定の設備に紐づいたアウトソーシング契約などです。

それぞれにリースが含まれるかどうかは経理部門が判断することです。それを見つけるのはデータの仕事です。買掛金から始めてください。12か月から24か月分の支払を取り出し、取引先と勘定科目でまとめ、地代家賃、物流、業務委託、ITの勘定で繰り返し発生している金額に印を付け、その裏にある契約書を取り寄せます。元帳が見逃すものは、各部署へのアンケートで拾います。

この基準では、無形固定資産のリースを適用対象外とすることも認められています。これは早めに決めてください。ソフトウェアのライセンス契約がそもそも台帳に入るかどうかが、それで決まります。

2. 判断を保持できる台帳

リースの台帳が、正となる記録のシステムになります。各リースには次の情報が必要です。

  • 会社、コストセンター、相手先、原資産、そして自己所有だった場合に属する資産の種類(注記にはこの区分が必要です)
  • リース開始日と解約不能期間
  • 延長オプションと解約オプション、それを行使することが「合理的に確実」かどうかの評価、評価した人と日付
  • 支払予定表。固定リース料、指数またはレートに応じて決まる変動リース料、負債に含めない変動リース料、残価保証、購入オプション、解約損害金に分けたもの
  • 非リース構成部分と、経理部門が資産の種類ごとにリース構成部分と合わせて会計処理することを選択したかどうか
  • 割引率
  • 前払リース料、付随費用、リース・インセンティブ、原状回復費用。これらが使用権資産の当初の金額を決めます
  • 借地権の設定に係る権利金等と再リースの条項。どちらも日本独自のルールがあります
  • 短期リースと少額リースの免除のフラグ

日本の不動産が難しくしているのは、リース期間です。普通借地契約と普通借家契約について、ASBJはリース期間の判断が難しいことを認め、日本独自の設例を加えました。プロシップの調査では、すでに準備を進めている回答者の40.0%が、最も時間がかかる論点としてリース期間を挙げています。前提とその理由は、スプレッドシートのセルのコメントではなく、データとして保存してください。

3. 計算

リース負債は、未払のリース料の現在価値です。使用権資産は、そのリース負債に前払リース料、付随費用、原状回復費用を加え、リース・インセンティブを差し引いた額から始まります。利息は利息法で配分します。減価償却は通常、リース期間にわたって残存価額ゼロまで行います。

日本基準には、IFRS第16号にはない簡便的な取扱いが残っており、システムは経理部門が選んだものに対応しなければなりません。

  • 使用権資産の総額に重要性が乏しい場合は、利息を定額法で配分するか、利息を含めずにリース料総額で資産と負債を計上することができます。
  • 購入オプションがなく、期間が12か月以内のリースは費用処理できます。
  • 少額のリースは費用処理できます。契約1件あたりのリース料総額が300万円以下という従来の基準が引き継がれ、新品時の価値が少額の資産についてのIFRS第16号型の免除と並んでいます。

4. 再測定のイベント

4月1日に正しくても6月には間違っている台帳では、役に立ちません。基準は2種類のイベントを定めています。

契約条件の変更 は、範囲や対価を変えるものです。床面積の縮小、期間の短縮や延長、賃料単価の変更などです。独立価格で資産を追加する場合は、別個のリースになります。範囲の縮小は資産を減らし、損益を計上します。それ以外の変更は、リース負債の変動額だけ資産を調整します。

見直し は、契約条件の変更がなくても発生します。リース期間が変わる場合や、購入オプション、残価保証、賃料が連動する指数やレートによってリース料が変わる場合です。

システムには、適用日付きのイベントのログ、各イベントからの将来に向けた再計算、そして監査人がすべての数字をたどれるように以前のすべての予定表の保存が必要です。より難しいのは組織の問題です。倉庫の賃貸借契約を再交渉している人は経理にいないので、イベントは記憶頼みのメールではなく、ワークフローを通じて台帳に届かなければなりません。

5. 固定資産、仕訳、元帳

ファイナンス・リースは、たいていすでに固定資産システムに入っています。新しい母集団は、主に不動産である従来のオペレーティング・リースです。

仕訳の流れは次のとおりです。

  1. リース開始時:使用権資産とリース負債を計上。
  2. 毎月:減価償却費と、リース負債に対する支払利息。
  3. 支払のたび:賃料の請求書は、賃借料の費用ではなくリース負債を減らす。
  4. 再測定のたび:資産と負債の調整と、発生した損益。

インターフェースが壊れるのはステップ3です。現在は、貸主の請求書が買掛金を通って地代家賃に計上されています。それが続く一方でリースのシステムが減価償却費と支払利息を計上すれば、賃料が二重に計上されます。一般的な解決策は、リースの請求書を仮勘定に回し、リースのシステムに内訳を計上させることで、そのためには契約の変更があっても崩れない、取引先と契約の対応表が必要です。

グループ会社間のリースは、消去のために双方で識別できなければなりません。そして支払予定表は、それ自体を独立した記録として残してください。プロシップの回答者のおよそ10人に9人が、会計と税務の取扱いが異なると見込まれるため、税務申告の作業に影響があると予想していました。

6. 開示

借手の注記には、リースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額、使用権資産の増加額、資産の種類ごとの減価償却費、短期リースに係る費用、リース負債に含めていない変動リース料などが含まれます。それぞれが作成して照合すべき帳票であり、キャッシュ・アウトフローは支払データから作るので、買掛金との連携に依存します。連結財務諸表を作成している会社は、これらの注記のいくつかを個別財務諸表で省略できます。

パッケージか、独自開発か

ほとんどの会社は購入するでしょう。プロシップの調査では、35.4%がリース管理システムの導入または入れ替えを予定しており、さらに23.0%が検討していました。監査法人以外の外部支援については、15.9%がすでに契約しており、42.1%が検討していました。ベンダーによる調査なので、測定値ではなく方向性として読んでください。

よいパッケージは、計算、予定表、標準的な帳票を扱います。契約を見つけることも、データを整備することも、買掛金や元帳に自らつながることもしません。そこで、よくある状況は3つになります。

  • リースや固定資産のモジュールに対応したパッケージERP。 ロジックはベンダーが提供します。自社の作業は、設定、データの投入、買掛金の変更、テストです。リリース日と対応範囲を書面で得てください。
  • ERPの横に置く専用のリース会計ソフトウェア。 インターフェースがプロジェクトそのものです。契約データの取り込み、仕訳の出力、買掛金の対応表、会社とコストセンターのマスタデータ、そして2つのシステム間の照合です。
  • 自社開発の固定資産システム。 ベンダーのアップデートは来ません。システムに使用権資産の資産区分、リース期間での減価償却、再測定、リース負債の予定表との連携を加えるか、リース会計をパッケージに移して自社開発のシステムには自己所有の資産だけを持たせるかです。どちらにしても、両方の側が変わります。

外資系グループの子会社では、グループのリースツールがすでに親会社の報告にデータを送っているかもしれません。日本基準での選択をグループの方針とそろえられるなら、1つの計算で両方の帳簿をまかなえます。そろえられないなら、システムは契約ごとに2つの基準の数字を持つことになります。

今後6か月の計画

3月決算で、2027年4月1日から基準を適用する前提です。

2026年10月:棚卸しと決定。 買掛金の分析を行い、契約書の取り寄せを依頼します。経理部門の方針の選択を文書にしてもらいます。免除の基準、非リース構成部分の取扱い、無形固定資産を含めるかどうか、普通借家契約のリース期間の考え方、割引率です。システムを選ぶか、ベンダーのリリースを確認します。

11月:台帳。 データモデルを固め、契約を投入し、判断の見直しを始めます。インターフェースの仕様を決めます。契約データの取り込み、仕訳の出力、買掛金の振り分けです。

12月:構築。 計算を設定し、仕訳を対応づけ、買掛金の変更を作ります。

2027年1月:実際の契約でテストする。 台帳全体を影響額の見積りに対して実行し、2027年4月1日時点の期首残高を計算します。基準は累積的影響額を利益剰余金の期首残高に計上することを認めているので、期首の計算はそれ自体が独立した実行になります。

2月:予行演習。 テスト環境で1か月分を新しい基準で締めます。支払、減価償却費、支払利息、契約条件の変更1件、見直し1件、そして開示用の帳票を含めます。

3月:切り替え。 台帳を凍結し、期首残高を確定し、4月分の請求書について買掛金の振り分けを切り替え、統制を文書化し、監査人に流れを説明します。

2027年4月:本番稼働。 月次決算を行っているなら、新しい基準での最初の締めは4月末です。最初の半期は2027年9月30日に終わります。

この計画より遅れているなら、いますぐ代替策を決めてください。同じ台帳から期首残高と最初の数か月分を、統制の効いた暫定の計算で出し、システムは期中に稼働させる方法です。理想的ではありませんが、台帳がないよりはるかにましです。

12月決算なら、最初の事業年度は2028年1月1日に始まります。計画は同じで、6か月ではなく15か月あります。

当社の役割

当社は会計士ではなくエンジニアです。方針は経理部門と監査人が決め、当社はそれに沿って構築します。当社の担当は、リース台帳へのデータの投入と整備、リース会計ソフトウェアと買掛金と元帳の間のインターフェース、そして自社開発の固定資産システムの改修で、ERPモダナイゼーションとレガシーシステムの保守のページでご説明しています。2027年4月が計画に入っているのに連携がまだ入っていないなら、office@c9group.devまでご連絡ください。