執筆:Kristijan Sekereš

スペインのB2B電子インボイス、2027年10月に義務化:独自開発システムとレガシーシステムが変えるべきこと

バルセロナ港の物流地区にある倉庫と、荷積み場に並ぶトラックの空撮

2027年10月6日から、直前の暦年のvolumen de operaciones(VAT上の年間取引高)が800万ユーロを超えたスペインのすべての事業者は、スペイン国内の他の事業者とやり取りする請求書を、構造化された電子インボイスとして発行、送信、受領しなければなりません。同じ日から、買い手として、仕入先の請求書ごとに全額を支払った時期、または受取を拒否したことを税務当局に知らせる必要もあります。それ以外の事業者は2028年10月6日に続きます。期限までのカウントダウンは、2026年10月6日にすでに始まっています。

いまシステムがメールで送っているPDFは、請求書ではなくなります。ただし、プロジェクトがつまずきやすいのは帳簿の反対側です。買掛金の処理では、支払ったすべての仕入先請求書について、支払日と支払期日を、週末と国の祝日を除いて4日以内に報告しなければなりません。

請求書と仕入先への支払いを、保守が続いている市販のERPで処理しているなら、発行側の作業の大半はベンダーの仕事です。支払報告について何を提供するのかも確認してください。こちらは、財務部門が支払いをどう記録しているかに左右されます。

この記事は、請求や買掛金の処理が、もう誰もアップデートを販売していないもので動いている企業向けです。AS/400のアプリケーション、アップグレードできないほどカスタマイズを重ねた古いNavision、自社のチームが書いた請求エンジンなどです。以下の内容はすべて2026年10月16日時点のものです。

日程

義務の根拠はLey 56/2007の第2条の2で、Ley 18/2022(企業の創設と成長に関する、いわゆる「Crea y Crece」法)の第12条によって書き換えられました。詳細はReal Decreto 238/2026が定めており、その第4最終規定(disposición final cuarta)が、公的ソリューションに関する省令の施行日から数えて2つの段階を設けています。

「a) Doce meses después, para los empresarios y profesionales cuyo volumen de operaciones, calculado conforme al artículo 121 de la Ley 37/1992, de 28 de diciembre, del Impuesto sobre el Valor Añadido, haya excedido de 8 millones de euros durante el año natural inmediato anterior. b) Veinticuatro meses después, para el resto de los empresarios y profesionales.」

その省令がOrden HAC/1028/2026で、2026年10月5日にBOE(スペイン官報)で公布され、10月6日から施行されています。AEAT(スペイン税務当局)の導入スケジュールは、これを具体的な日付に落とし込んでいます。

対象電子インボイスの発行・送信・受領請求書の状況と支払いの報告
volumen de operacionesが800万ユーロ超2027年10月6日2027年10月6日
それ以外:会社とその他の法人2028年10月6日2028年10月6日
それ以外:個人とentidades en régimen de atribución de rentas(所得を構成員に帰属させる団体)2028年10月6日2029年10月6日

民間の交換プラットフォームには、顧客が誰であれ、2027年10月6日から独自の義務がかかります。AEATの公的ソリューションは最初の期限の少なくとも2か月前に利用可能になっていなければならないため、遅くとも2027年8月初めには公開されます。

計画のうえで重要な点が2つあります。基準額はVATと同じ方法で、直前の暦年(「el año natural inmediato anterior」)について計算します。文字どおりに読めば、2027年10月の期限では2026年が基準になりますが、この点は税務アドバイザーに確認してください。また、800万ユーロを超える事業者は12か月間、電子インボイスごとに判読性を確保するためのPDF(「que asegure su legibilidad」)を添えなければなりません。ただし、顧客が元の形式で受け取ることに自発的かつ明示的に同意した場合(「acepte voluntaria y expresamente recibirlas en su formato original」)は不要です。このPDFがAEATに送られることはありません。

対象になる者、ならない者

義務を負うのは、VAT上の定義による事業者または専門職業人のうち、請求書を発行しなければならない者で、顧客がスペインに本店、恒久的施設または住所を持つ事業者である場合です。AEATの適用範囲のページは、VAT、IGIC(カナリア諸島の間接税)、IPSI(セウタとメリリャの間接税)の対象となる取引が含まれるとしており、カナリア諸島、セウタ、メリリャも対象です。

同じページによると、対象外となるのは次のとおりです。

  • 簡易請求書(請求書規則第7条第2項に基づく適格簡易請求書を除く)。
  • 消費者への販売と、スペインに拠点のない事業者への販売(EU域内の取引を含む)。
  • 経済省が省令で除外する取引、および電力・ガス市場の運営者とIATAの清算機関による一部の規制対象業務。

除外に当たらないものが3つあります。

  • SIIの対象者。 勅令にもAEATの一覧にも、Suministro Inmediato de Información(SII、即時情報提供制度)への言及はありません。SIIは毎月VATを申告する事業者には義務で、VAT施行規則第71条第3項は、同じ方法で計算したvolumen de operacionesが前年に6,010,121.04ユーロを超えた事業者を月次申告の対象としています。したがって、2027年10月に対象となる会社のうち、AEATにVATを申告している会社は、すべてすでにSIIに加入しています。それでVERI*FACTUからは外れますが、この義務からは外れません。
  • バスク州とナバラ州。 VERI*FACTUは地域独自の税制(foral)の境界で止まりますが、この義務は止まりません。勅令は、地域の税務当局とAEATとの協定を通じて、公的ソリューションがこれらの地域の納税者にも対応するとしています。
  • 買い手による発行と第三者による発行。 顧客や第三者が御社に代わって請求書を発行する場合も、義務は御社に残ります。

仕組み

経路は2つあり、組み合わせることもできます。民間の交換プラットフォームと、AEATが運営する無料の公的ソリューションです。民間のプラットフォームは、顧客から求められれば互いに無償で接続しなければならないので、顧客のプラットフォームへの加入を強いられることはありません。民間のプラットフォームで受け取ることを仕入先と合意していない事業者は、公的ソリューションを選んだものとみなされます。

請求書はEN 16931のセマンティックモデルに基づく構造化メッセージで、構文はCII、UBL、EDIFACT、Facturaeの4つのいずれかです(第7条第1項)。勅令の前文は、民間のプラットフォームではPeppol BISも有効だとしています。公的ソリューションが受け付けるのはUBLだけです。

どの経路を使っても、すべての請求書が最終的にAEATに届きます。公的ソリューションを通さずに発行するシステムは、第6条第2項により、公的ソリューションに「simultáneamente a su emisión una copia electrónica fiel de cada factura en la sintaxis UBL」を送らなければなりません。発行と同時に、各請求書の忠実な電子コピーをUBL構文で送るということです。省令によると、このコピーはCopyIndicator項目でコピーであることを示し、埋め込みファイルを含まず、同じ一意コードのものがすでにあれば拒否されます。拒否されたコピーは修正して再送し、元の請求書は有効なままです。一意コードは、発行者のNIF(納税者番号)、シリーズと番号、発行日で構成されます。民間のプラットフォームを通じて発行する請求書には高度電子署名が付き、公的ソリューションにWebサービスで接続するには電子証明書が必要です。

市場はゼロからの出発ではありません。経済省は「hoy se intercambian ya más de 550 millones de facturas electrónicas al año en España」と述べており、スペインではすでに年間5億5,000万通を超える電子インボイスがやり取りされています。新しいのは、全員がそうしなければならないこと、そしてAEATがすべての請求書とすべての支払いを把握することです。

独自開発システムがすべきこと

発行

  • 請求書は印刷レイアウトではなくデータとして。 各請求書は、送信する前に構造化されたレコードとして存在していなければなりません。古いシステムでは、VATの内訳が請求書を印刷する帳票の側で計算され、どこにも保存されていないことがよくあります。
  • 整ったマスタデータ。 公的ソリューションが請求書を受け付けるのは、発行者と受領者のNIFが正しく入力されている場合だけです。自由記述の住所、単位、支払条件は、コードへのマッピングが必要です。
  • スペイン独自の拡張。 省令の附属書は、EN 16931にない項目を追加しています。所得税の源泉徴収(retenciones)、第三者が発行した請求書、賃貸物件の所在地、国内税の種類、訂正請求書の種類と方法を示すコードです。
  • 顧客ごとの送付経路:民間のプラットフォーム(どれを使うかも含めて)か、公的ソリューションか。
  • 発行の時点でのUBLコピー(公的ソリューションを通じて発行する場合を除く)。プラットフォームが代わりに送ってくれることもありますが、直接接続するなら自社で構築します。
  • 訂正。 省令は、取引そのものが存在しなかった場合に請求書を取り下げること(「dar de baja」)を認めています。それ以外の誤りは通常の請求書のルールに従い、実務上は訂正請求書で対応します。
  • 経過措置のPDF:800万ユーロを超える事業者は、12か月間これを添えます。

受領と支払い:作業の大半はこちら

独自開発のシステムが苦労するのはここです。請求書のテンプレート1つでは済まず、購買、承認、資金管理にまで及ぶからです。

  • 構造化された請求書の受領:プラットフォームか公的ソリューションから受け取ります。公的ソリューションでは、受領者が直接または自動化されたアクセスによって、いつでも請求書を取得できます。
  • 仕入先への報告。 第10条は、顧客が請求書を承認したか拒否したかとその日、そして全額を支払った日を、土曜、日曜、国の祝日を除いて最長4日以内に発行者へ伝えるよう求めています(「en un plazo máximo de cuatro días naturales, excluyendo sábados, domingos y festivos nacionales」)。請求書が公的ソリューションを経由する場合は、第12条だけが適用されます。
  • AEATへの報告。 第12条は、受領して拒否しなかった各請求書について、実際に全額を支払ったことをその日付とともに、支払期日と併せて公的ソリューションに報告するよう顧客に求めています。期限は、実際の支払日から土曜、日曜、国の祝日を除いて4日以内です(「en un plazo máximo de 4 días naturales desde dicha fecha efectiva del pago, excluyendo sábados, domingos y festivos nacionales」)。拒否も報告します。何も報告しなければ、その請求書は承認されたものと推定されます。これは、請求書がどの経路を通ったかに関係なく適用されます。
  • 形式。 省令の第7条と第8条によると、これはUBLのApplicationResponseメッセージ(PAYMENTとREJECTION、それぞれに取消しあり)で、請求書の一意コードを使ってWebサービスで送るか、Webフォームから1件ずつ送ります。権限を与えれば、プラットフォームが代わりに報告できます。AEAT側の原因で公的ソリューションが24時間を超えて停止した場合は、復旧後に4営業日が与えられます。
  • 正しい支払日。 勅令の前文は、支払日を仕入先が実際に支払いを受けた日と定義しています。現金なら支払った日、振込なら支払人の口座から引き落とされた日、相殺なら合意した相殺の日です。前文はさらに「La mera puesta a disposición del proveedor de un mecanismo financiero para adelantar el cobro de la factura no computará」と書いており、請求書の代金を早く回収するための金融手段を仕入先に用意しただけでは、支払いとはみなされません。confirming(リバースファクタリング)では、銀行が仕入先に前払いを提案した日は、報告する支払日ではありません。
  • 例外が1つ。 請求書そのものに、発行日以前で取引日と一致する支払日が記載されている場合は、支払報告をしたものとみなされます。

レガシーな買掛金モジュールにとって、これは新しいデータを意味します。口座からの引落しごとに、それで決済した請求書の一意コードへのひも付け、全額支払済みのフラグ、保存された支払期日、そして期限内にメッセージを送信し、失敗すれば再送するキューです。30件の請求書をまとめて決済する1回の振込は、30件の支払メッセージになります。

このデータには税務以外の用途もあります。AEATは毎年第1四半期に、Observatorio Estatal de la Morosidad Privada(民間の支払遅延を監視する国の機関)へ、前年にLey 3/2004(商取引の支払遅延対策法)の支払期限を守らなかった企業の一覧を作るための情報を送ります。その証拠になるのが、御社のシステムが報告する日付です。

VERI*FACTUとの関係

両者は別々の制度です。Real Decreto 1007/2023に基づくVERI*FACTUは、請求ソフトウェアに不正防止の要件を課すもので、請求書ごとのハッシュ付きの記録とQRコードを求めます。B2Bの電子インボイスが定めるのは、事業者間で請求書をやり取りする形式と、その支払いの報告です。経済省の言葉を借りれば「se trata de dos medidas diferentes」、つまり2つの異なる措置です。勅令が両者を結び付けているのは1か所だけで、義務化された電子インボイスは一般税法第29条第2項j号に対応したシステムから発行しなければならないとしています。この規定を具体化したのがVERI*FACTUです。

共通税制地域(バスク州とナバラ州以外)の800万ユーロを超える会社については、SIIで答えが決まります。VERI*FACTUは適用されず、2027年10月の期限が適用されます。それより小さい会社では、2つのプロジェクトがいまや同じ月に向かっています。2026年10月5日、財務省は、まだ適用されていないVERI*FACTUの義務を「hasta octubre de 2028」(2028年10月まで)延期し、800万ユーロ以下の事業者への電子インボイス義務化と時期をそろえると発表しました。2026年10月16日時点で、この変更を定める規定はBOEに公布されておらず、2027年のVERI*FACTUの期限は引き続き有効です。その点はVERI*FACTUのガイドで解説しています。

2027年10月6日までの計画

2026年10月半ばからだと、第1陣の会社に残されているのは12か月弱です。独自開発のシステムでも、この四半期に作業を始めれば十分間に合います。

  1. 2026年10月から11月:棚卸し。 スペインの事業者に請求書を発行するすべてのシステムと、仕入先の請求書を受け取り、承認し、支払うすべてのシステムを洗い出します。自社がどちらの段階に当たるかを、アドバイザーに確認します。
  2. 2026年11月から2027年1月:経路を選ぶ。 民間のプラットフォーム、公的ソリューションへの直接接続、またはその両方です。プラットフォームには、受け付ける構文、UBLコピーと支払報告を代わりに送ってくれるか、状況メッセージがどう返ってくるか、テスト環境があるかを確認します。
  3. 2026年12月から2027年3月:データ。 NIFの検証、構造化された住所、データとしての支払条件、保存されたVATの内訳、スペイン独自の拡張、EN 16931へのマッピングです。
  4. 2027年1月から5月:買掛金。 受信処理、拒否、入出金明細から取得する支払日、報告のキューです。
  5. AEATが公的ソリューションを公開したらすぐ、遅くとも2027年8月までに:エンドツーエンドのテスト。 省令は技術仕様を、AEATがSede electrónica(電子窓口)で公開する内容に委ねているので、マッピングは1つのモジュールにまとめ、改訂がある前提で進めます。
  6. 2027年9月:前倒しで稼働開始。 一部の顧客と仕入先を相手に、PDFも併せて送りながら始めます。
  7. 2027年10月6日:義務化。 初日から、報告キューの担当者を決めておきます。

2028年10月組にも、1年遅れで同じ手順が当てはまります。規模の大きい仕入先は2027年10月から御社あてに電子インボイスを発行し始め、そこには、勅令の前文がそれ以外の事業者にとっての判読性を保証するとしているPDFが添えられます。その1年を使って、受け取る仕組みを整えてください。

まだ動く可能性があること

  • 日程はこれまでにもずれています。 2026年3月、経済省は省令が「antes del 1 de julio de 2026」(2026年7月1日より前)に出ると見込んでいましたが、実際に出たのは10月でした。いまでは日付は勅令そのものから導かれるので、動かすには新しい規定が必要です。
  • EUの条件。 Ley 18/2022は、第12条の適用を、VAT指令(2006/112/EC)第218条と第232条についてEUが例外を認めることを条件としていました。ViDAパッケージの一部である指令 (EU) 2025/516は、その施行の時点から両条を改正し、加盟国が受領者の同意なしに国内の電子インボイスを義務づけられるようにしました。勅令の前文もこの指令を引用しています。これで条件を満たすかどうかは法律家が判断することですが、政府はすでに先へ進んでおり、当社はその日程に沿って計画しています。
  • 仕様。 公的ソリューションの構文は2つの省の共同省令で変更でき、ほかの構文が認められる可能性もあります。
  • 業種ごとの除外。 経済省は省令で取引を除外でき、原則として一時的な措置です。
  • 罰則。 勅令にも省令にも、独自の罰金の定めはありません。Ley 56/2007第2条の2第9項に定める最大1万ユーロの罰金は、消費者に電子インボイスを提供しなかった場合のもので、B2Bの請求書が対象ではありません。B2Bで義務を果たさなかった場合にどれだけの負担になるかは、税務アドバイザーに確認すべき問題です。

ご相談先

当社は、この義務のうち御社自身のコードに関わる部分を構築します。EN 16931へのマッピングとUBLの出力、公的ソリューションへのコピー送信、マスタデータの変更、買掛金への受信処理、支払日の取得、再送機能付きの報告キューです。進め方は電子インボイス連携サービスでご説明しています。義務化がシステム刷新の途中に重なる場合はERPモダナイゼーションをご覧ください。古いプログラムの仕組みを知る人がもう社内にいない場合は、レガシーシステムの保守から始めます。

請求書や仕入先への支払いを、コネクターをどこも販売していないシステムで処理しているなら、office@c9group.devまでご連絡ください。当社は弁護士でも税務アドバイザーでもなく、エンジニアです。適用範囲と責任に関する問いは御社の弁護士や税務アドバイザーに委ね、当社はその回答に沿って構築します。

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