オーストラリアのドリップ・プライシング規制とオンライン解約義務、2027年7月1日施行:自社開発のチェックアウトで変えるべきこと

2027年7月1日から、オーストラリアで消費者向けの商品やサービスの価格を表示する事業者は、取引ごとにかかる必須の手数料を、その価格が表示されるたびに、価格のすぐ横に表示しなければなりません。オンラインで申し込めるサブスクリプションは、オンラインで解約できるようにする必要があります。どちらの義務もCompetition and Consumer Amendment (Unfair Trading Practices) Act 2026によるもので、この法律はインターフェース設計を含め、不公正な取引慣行を一般的に禁止する規定も新設しています。
法律は手数料そのものを禁じてはいません。禁じているのは、手数料を後から明かすことと、解約を必要以上に難しくすることです。決済画面で予約手数料を上乗せするチケット販売サイトや、退会に電話を求めるジムにとって、対応とはコードを書き換えることを意味します。
サブスクリプションをStripe Billingなどのホスティング型製品で、ストアをShopifyで運営しているなら、作業の多くは新しいコードではなく、ベンダー製品の設定です。オーストラリア財務省(Treasury)の影響分析も同じ前提に立ち、こうしたプラットフォームは「通常、簡単な解約手続きを自社サイトに組み込み、ほとんど、あるいはまったく追加費用をかけずに消費者へ通知を送ることを可能にしている」としています。御社の仕事は、ベンダーが何をいつ変更するかを確認し、自社で上乗せしている手数料を見直すことです。
この記事は、価格、手数料、請求が自社所有のソフトウェアから出ている企業向けです。社内開発の予約エンジン、チケット販売プラットフォーム、ネイティブアプリ、誰もアップデートを販売していないサブスクリプション請求システムなどです。2025年12月の財務省のDecision Regulation Impact Statementははっきりと「ウェブサイトやアプリも、簡素化された解約手続きを組み込むよう更新する必要がある」と述べています。当社はエンジニアであり、弁護士ではありません。以下は法律の内容とソフトウェアにとっての意味をまとめたもので、特定の手数料や契約が対象になるかどうかは、法律顧問にご確認ください。
スケジュール
この法律は2026年法律第64号です。2026年7月6日に国王裁可(Royal Assent)を受け、施行に関する表には「The whole of this Act | 1 July 2027」、つまり法律全体が2027年7月1日に施行されるという1行しかありません。段階的な導入も、中小企業向けの猶予もありません。
| 内容 | 適用開始 |
|---|---|
| 基本価格の横での手数料表示(s 48A) | 2027年7月1日 |
| サブスクリプションの申込時の情報開示(s 48D) | 2027年7月1日 |
| 簡単な解約とオンライン解約(s 48F) | 2027年7月1日以降に締結された契約 |
| 2027年7月1日より前に締結されたサブスクリプション | 2027年7月1日以降に更新、延長、その他の継続または変更が効力を生じる日から |
| 更新前と無料期間終了前のリマインダー(s 48E) | 規則で定められてから。2026年10月16日時点で登録された規則はなし |
| 不公正取引慣行の一般的禁止(s 28B) | 2027年7月1日以降の行為 |
既存のサブスクリプションに関する行は、Australian Consumer Lawに新設される312条によるものです。契約が「施行日以降に更新、延長、またはその他の方法で継続される」場合、規定は「更新、延長、またはその他の継続が効力を生じる日から」適用されます。計画上は、月額プランが2027年7月1日以降の最初の更新で対象になると想定してください。そうすると、1か月以内に契約者全体が対象になります。この解釈が御社の契約に当てはまるかどうかは、顧問にご確認ください。
規制当局もこの日付を意識しています。オーストラリアの競争・消費者委員会であるACCCのジーナ・キャス=ゴットリーブ(Gina Cass-Gottlieb)委員長は、2026年9月3日に「2027年7月1日から、新たな一般的禁止規定は、消費者を操作し、または消費者が意思決定を行う環境を不当にゆがめ、損害を生じさせる行為に適用される」と述べました。ACCCの2026/27年度の重点事項には、すでに「サブスクリプションの罠やその他のダークパターン」が挙げられています。2026年10月16日時点で、新しい規定に特化したACCCのガイダンスは見つかっていません。
対象となる事業者
手数料の表示義務は「通常、個人、家庭または世帯での使用や消費のために購入される種類の商品またはサービス」に適用されます。基準は商品の種類であり、誰が買うかではありません。例外は「法人のみ」(body corporate)に向けた申込みの誘引で、法人ログインの奥にある業者向け価格表はおそらく対象外ですが、一般公開の予約ページは対象です。
サブスクリプションの規定は4つの型を対象にします(s 48B)。終了日のない継続契約、誰かが止めない限り更新される期間契約、有料プランに移行する無料トライアル、そして後で値上がりする初回割引価格です。賃貸借とリース、不動産の使用許諾、所有権留保付き割賦販売(hire-purchase)、分割払い、保育、学校教育は除外されます(s 48C)。簡単な解約の義務は消費者だけでなく小規模事業者も保護します。従業員が100人未満、または直近の課税年度の売上高が1,000万豪ドル(AUD 10,000,000)未満の契約者との定型約款による契約です(s 48G)。小規模企業に販売するセルフサービス型のSaaSプランも対象になります。
一般的禁止規定(28条B)が保護するのは消費者だけで、法人や事業として行う購入は対象外です。
オーストラリア国外の企業も自動的に対象外になるわけではありません。Competition and Consumer Actの5条は、オーストラリアで設立された会社、またはオーストラリアで事業を営む(carrying on business)会社によるオーストラリア国外での行為にもAustralian Consumer Lawを及ぼしています。御社がそれに当たるかどうかは、弁護士に確認すべき問題です。
手数料の表示義務の対象外(s 48A(8))は、購入者が自ら選んで支払う料金、カード決済の手数料(法律のPart IVCに独自の規定があります)、供給者に課される税や賦課金、そして法定の仕組みに基づき供給者が購入者に代わって支払う一部の公的な料金です。規則でさらに除外される可能性がありますが、2026年10月16日時点では何も定められていません。
財務省は、手数料に関する規定の影響を受けるオンライン注文を受け付ける企業を326,737社と数え、「約10パーセントの企業が、オンラインの価格表示を変更しなければならないことから調整費用を負担する」と推計しています。その多くはIT費用です。サブスクリプションを提供する企業は30,600社としています。
予約エンジンやチェックアウトで変えるべきこと
取引ごとの手数料(transaction based charge)とは、「購入者が支払う、または支払う可能性がある」料金のうち、商品やサービスそのものの代金ではなく、その代金と同時に支払うものを指します(s 48A(7))。予約手数料、サービス料、事務手数料はこの文言に当てはまり、顧客が避けられない配送料も同様です。現行の総額表示ルールとは異なり、48条Aには配送に関する例外がありません。
基本価格(base price)を表示するたびに、48条A(2)はそうした手数料ごとに4つの情報を求めます。金額(まだ計算できない場合は計算方法)、取引ごとの手数料であること、支払いが必要か、または必要になる可能性があるか、そして基本価格に含まれているかどうかです。48条A(3)は表示方法を「基本価格が表示されている間」「読みやすく、目立ち、あいまいさのない方法で」「基本価格のすぐ近くに」と定めています。注記が明白な抜け穴をふさいでいます。「この項は、基本価格が表示されるたびに適用される。」
ACCCは現行法のもとでもこの問題に取り組んできました。2015年には、検索結果と掲載ページで必須のサービス料と清掃料が十分に開示されていなかったとして、Airbnbから確約を受け入れています。48条Aはこれを、価格を表示するすべてのページに対する具体的な義務にします。
自社開発のシステムでは、通常、次の部分に作業が発生します。
- 価格を表示するすべての画面。検索結果、一覧、イベントページと商品ページ、座席表、カート、ネイティブアプリです。システムが生成するメールやフィードも確認してください。
- 決済時に足す1行ではなく、サービスとしての手数料。多くのエンジンは注文を組み立てる時点で初めて手数料を計算します。すべての価格の横に手数料を表示するには、価格を描画するあらゆる場所から、商品、数量、チャネル、配送方法という同じ入力で手数料ルールを呼び出せる必要があります。
- まだ計算できない手数料。顧客が数量や配送方法を選ぶ前は、計算方法を表示します。注文ごとの定額や、チケット価格に対する割合などです。法律はそれを認めています。認めていないのは沈黙です。
- チャネルによって異なる手数料。オンラインでは請求するが窓口では請求しない手数料も、支払いが必要か、または必要になる可能性があるかとあわせて、オンライン価格の横に表示する必要があります。
- レイアウト。法律は「すぐ近く」を定義していません。ACCCがガイダンスを出すまでは、厳格な解釈に合わせて設計してください。手数料は価格と同じ視覚ブロックに置き、スマートフォンでも同じ表示範囲に収め、ツールチップや脚注の中に隠さないことです。
- 任意のオプション。48条Aの対象外ですが、現行の48条の総額表示ルールでは、事前に選択された任意料金は顧客が選択を外すまで総額に含まれます。オプションは未選択の状態にしておいてください。
- 総額表示は残る。48条Aは「48条を制限しない」とされています。総額が算定できる場合は、引き続き単一の金額を、価格のどの構成要素よりも目立たないことのないように表示する必要があります。
- テスト。画面とブレークポイントごとに、手数料の文言が価格から離れたら失敗するビジュアルリグレッションテストを用意します。手数料表示が壊れるのはたいてい公開時ではなく、次のリデザインのときです。
サブスクリプション請求で変えるべきこと
- 申込時の情報開示(s 48D)。契約がサブスクリプション契約(subscription contract)になる旨の記載と、契約者が支払う金額、期間、更新の仕組み、解約に必要な予告期間、解約方法です。オンラインでは「供給者以外の者が契約の締結に同意できる場所のすぐ近く」に表示します。申込ボタンの横に、プラン自体のデータから生成して、文言が価格とずれないようにします。
- 簡単な解約(s 48F)。すべての解約方法は「見つけやすく」「わかりやすい」ものでなければならず、求めてよい手順は「契約を終了し、契約者の利益を守るために合理的に必要な」ものだけです。契約者がオンラインで申し込んだ場合、または御社がその種類のプランをオンラインで申し込めるようにしている場合は、「供給者が提供する契約終了の方法のうち一つがオンラインであることを確保」しなければなりません。
- 本当に契約を終わらせる解約フロー。アカウント画面から確認画面まで進めるリンクであって、サポートチケットを起票するだけのフォームではありません。請求システムは解約をイベントとして受け取り、次回の請求を止め、規約上の予告期間があれば適用し、確認通知を送る必要があります。
- アカウントのない契約者。ゲスト購入やパートナー経由で申し込んだ人にも、登録済みのメールアドレスに署名付きリンクを送るなど、オンラインの解約手段が必要です。
- 引き留めの手順。引き留めのオファーが、契約を終了するために「合理的に必要な」手順だとは言い切れません。残す場合は断れる画面1枚にとどめ、顧問に確認してください。
- 小規模事業者の契約者。システムに従業員数や売上高は保存されていないはずです。誰が対象かを判定するより、すべての契約者に同じオンライン解約を用意するほうが簡単です。
- リマインダー(s 48E)。この義務は、規則で定められた契約と情報にのみ適用されます。財務省は「更新や無料期間の終了前に消費者に知らせる自動通知システム」を想定しているので、通知のフックは今のうちに作り、内容は設定で変えられるようにしておきます。
インターフェース設計と一般的禁止規定
28条Bは、消費者を操作し、または消費者が判断する環境を不当にゆがめ、その結果、損害を生じさせる、または生じさせるおそれのある行為を禁止しています。例として挙げられているのは、重要な情報を「複雑で、効果がなく、不明確で、理解できず、あいまいで、時機を逸した、または圧倒的な方法で」開示すること、そして「消費者の意思決定に関して不当な圧力をかけ、または意思決定やその実行を妨げる環境を(デジタルインターフェースのデザイン要素によるものを含め)作り出すこと」です。
法律は禁止パターンの一覧を示していません。線を引くのは裁判所です。まずはプロダクトチームが午後のうちに見つけられるものから見直してください。再読み込みでリセットされるカウントダウン、実際の在庫と関係のない残りわずか表示、申込みより長い解約フロー、罪悪感を抱かせる言い回しの「いいえ、結構です」リンク、そして顧客にお金がかかるデフォルト設定です。
罰則
一般的禁止規定には既存の不公正な慣行に関する規定と同じ上限が適用され、48条Aから48条FはAustralian Consumer LawのPart 3-1にあり、こちらはすでに最も高い区分に属しています。Competition and Consumer Actの現行の統合版の224条(3A)によれば、会社に対する上限は違反1件ごとに、次のうち高いほうの金額です。
- 1億豪ドル(AUD 100,000,000)
- 裁判所が算定できる場合は、違反に合理的に帰すことのできる利益の価額の3倍
- 算定できない場合は、違反の基準期間における会社の調整後売上高(adjusted turnover)の30%
個人の場合の上限は250万豪ドル(AUD 2,500,000)です。ACCCはこれらの規定について違反通知(infringement notices)を出すこともできます。
2027年7月1日までの計画
2026年10月16日時点で、残りは8か月半です。自社開発のシステムでも、今すぐ棚卸しを始めれば間に合います。
- 2026年10月から11月:棚卸し。価格を表示するすべての画面、すべての手数料ルールとその計算場所、すべてのサブスクリプションプラン、すべての申込経路、すべての解約方法を洗い出します。
- 2026年11月から12月:分類。各金額を、基本価格、取引ごとの手数料、任意のオプション、決済手数料、御社に課される税や賦課金のいずれかに分類します。判断に迷うものは6月ではなく今のうちに法律顧問に回してください。
- 2027年1月から3月:開発。すべての価格画面から呼び出せる手数料サービス、各画面での手数料表示、プランデータから生成する開示文、オンライン解約フロー、請求システムでの解約イベント、通知用のフックです。
- 2027年3月から4月:設計レビュー。すべての購入と解約の経路を28条Bに照らして確認します。カウントダウン、デフォルト設定、文言、そして申込みと比べて解約に何ステップかかるかです。
- 2027年4月から5月:テスト。画面とブレークポイントごとのビジュアルリグレッションと、アカウントのない契約者を含め、すべてのプランと申込経路でのエンドツーエンドの解約テストです。
- 2027年5月から6月:早めのリリース。期限前に対応してはいけない理由はなく、6月にリリースすればテストで見落とした点を直す時間が残ります。
- 2027年7月1日以降:更新を見守る。既存の契約は更新のたびに規定の対象になります。各画面がいつ何を表示していたかを示すバージョン付きのスクリーンショットを保存してください。いつか問い合わせがあったときの記録になります。
まだ動きうること
法律は細部を規則に委ねています。リマインダー(s 48E)、追加で除外される手数料(s 48A(8)(e))と契約(s 48C)、特定の場合の開示方法(s 48D(3))、そして解約義務の例外(s 48F(3))です。2026年10月16日時点で、Federal Register of Legislationに登録されたものはありません。
財務省は2026年6月3日から7月10日まで、不公正取引慣行からの小規模事業者の保護に関する意見募集も行っており、一般的禁止規定の保護対象が広がる可能性があります。サブスクリプションの規定は、施行後2年を経た時点で見直されることになっています。
いずれも2027年7月1日を動かすものではありません。手数料ルールと開示文は設定として持ち、規則が変わってもコードではなくデータの変更で済むようにしておきましょう。
ご相談先
当社は、企業がすでに運用しているコードを改修しています。ウェブとアプリでの価格表示、手数料計算、サブスクリプション請求、解約フローなどで、次のリデザインの後も手数料が価格の横に残るようテストも整備します。こうした作業は多くの場合レガシーシステムの保守サービスから始まります。チェックアウトにアクセシビリティの見直しも必要なら、同じ全画面の棚卸しをWebアクセシビリティ改善サービスにも生かせます。
予約エンジン、アプリ、請求システムを社内で開発していて、チェックアウトで手数料を上乗せしている、あるいは解約に電話を求めているなら、office@c9group.devまでご連絡ください。当社はエンジニアであり弁護士ではありません。どの手数料と契約が対象になるかは法律顧問にご確認いただき、当社はその回答に沿って開発します。
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